日時:12月27日(水) 17:00- 場所:東京大学生産技術研究所 An棟 An301 講師:中岡 慎治 先生(静岡大学大学院理工学研究科) タイトル:サイズ分布を考慮した生物個体群ダイナミクス アブストラクト: 現存する生物種の80%は一生のうちで体サイズ成長することが知られている。 本研究では、個体間のサイズの違いが生物集団の個体数変化に与える影響を、個 体群モデルによって考察する。サイズは連続変数とみなせることから、まずは偏 微分方程式による個体群モデルを導入する。次に生物集団を大人と子供にステー ジを分け、成熟にかかる時間(maturation delay)を導入することにより、ディレ イ方程式が偏微分方程式の特殊な場合として導かれることを示す。ディレイ方程 式は、共役半群の理論を用いることによって、常微分方程式の場合と同様な基礎 理論や安定性・分岐理論がほぼ確立されつつある。ディレイ方程式に対する Hopf 分岐定理を若干整備した後、局所安定性解析を行うことによってサイズ分 布がもたらす個体数振動の可能性を議論する。局所安定性解析の結果を元に、 EBT-法と呼ばれる偏微分方程式の離散近似法を用いてシミュレーションすること により、個体数振動の特徴づけ、分類を行っていく。